「どう切ればいいの?」が言えなかった、あの夜のこと。

包丁を持ったまま、固まってしまった。
ミズーリ州セントルイス。ホストマザーのキッチン。夕食の準備を手伝おうとして、じゃがいもを渡されたその瞬間のことを、今でもはっきり覚えている。
「薄く切る?それとも角切り?どのくらいの大きさ?」
頭の中には聞きたいことが山ほどあるのに、英語がまったく出てこない。 辞書をめくりながら、ホストマザーの笑顔を横目で見て、「早く何か言わなきゃ」と焦るほど言葉が遠ざかっていく。
あの沈黙は、今思い出しても少し恥ずかしい。
でも、あの夜の「言えなかった悔しさ」があったから、私は必死で英語を覚えた。 そして後になって知った。たったひとつのフレーズで、あの場面は全部乗り越えられた、と。
そのフレーズが、これだ。
✅ “What’s the best way to cut this?” 「これの一番いい切り方は何ですか?」
シンプルすぎて、拍子抜けするかもしれない。 でも、このたった10語が、キッチンでも、DIYの現場でも、旅先のマーケットでも、何度だって会話を救ってくれる。
今回は、このフレーズが実際に「使えた!」と感じたリアルなシーンを、体験談とともにたっぷりご紹介する。 あなたの「言いたかったのに、出てこなかった…」を、「自然に言えた!」に変えるヒントが、ここにある。
なぜ “What’s the best way to cut this?” はこんなに使えるのか?

英語学習でよく言われることがある。
「文法が正しい英語より、その場で使える英語の方がずっと大切」
これ、本当にそうなのだ。 ネイティブとの会話は、試験じゃない。正確さよりも、「会話を続けられるかどうか」が、実際の暮らしでは10倍重要になる。
このフレーズが強い理由は3つある。
① 汎用性が異常なほど高い 料理でも、DIYでも、フルーツを切るときでも、ケーキを分けるときでも、どんな場面にも対応できる。「cut」という動詞ひとつで、生活のあらゆるシーンをカバーできてしまう。
② 相手が自然に「教えてあげたい」気持ちになる “What’s the best way to…?” というフォームは、相手の知識やセンスを尊重するニュアンスを持っている。「あなたはどう思う?」と聞かれた感覚に近く、会話が自然と広がっていく。
③ 覚えた瞬間から、すぐ使える 難しい単語も、複雑な文法も不要。この形のまま丸ごと覚えて、末尾の「this」を状況によって変えるだけでいい。応用が効くのに、学習コストがほぼゼロ。
「使える英語」とはこういうものだ、と改めて思う。
【リアルシーン①】ホストマザーと夕食の準備中
きっかけとなる【Key Phrase】フレーズ、”What’s the best way to cut this?” を使って、英語のやり取りを実戦形式で設定してみました♪
英語はインプット(聞いたり、読んだり)したら、アウトプット(言ったり、書いたり)することで、自分の記憶に定着するんですよ。早速、アウトプットしてみましょう。

| 【Context:状況】ホストマザーと一緒にディナーの手伝い中。ポテトを渡されて、どう切るべきか迷っている場面。 |
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あなた Hey, I’ve got the potatoes. What’s the best way to cut this? ポテト持ってきたよ。これって、どう切るのが一番いい? ホスト母 Oh, thanks! Let’s slice them pretty thin, like chips. They’ll roast faster that way. ありがとう!チップスみたいに薄くスライスしてくれる?そのほうが焼くの早いから。 あなた Got it. Thin slices coming up! 了解、薄切りね! |
| 💡 ポイント解説
“Thin slices coming up!” は料理の場面でとても自然なひと言。「すぐやります!」という軽快なニュアンスで、ホストファミリーとの距離がグッと縮まる表現だ。キッチンで使うと、場の空気が一気に明るくなる。 |
【リアルシーン②】初めてのパイナップルに挑戦

| 【Context:状況】米国のスーパーで初めて買ったパイナップルを、キッチンでどう切ればいいか迷っている場面。 |
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あなた Umm… I’ve never cut a pineapple before. What’s the best way to cut this? うーん…パイナップルって切ったことないんだよね。これって、どう切るのが一番いい? ホスト姉 Haha, don’t worry! First, chop off the top and bottom. Then stand it up and slice down the sides to remove the skin. あはは、大丈夫よ!まず上下を切って、それから立てて、皮をそぎ落とす感じかな。 あなた Ohhh, okay! That makes sense. おぉ、なるほどね! |
| 💡 ポイント解説
“That makes sense.” は「なるほど」「納得した」というニュアンスで使える万能フレーズ。相づちとして使うと、会話のテンポが自然になる。”I see.” や “Got it.” と並んで、日常会話で最も出番が多い表現のひとつだ。 ちなみに “chop off” は「ばっさり切り落とす」イメージ。包丁でザクッとやる感じが伝わる、視覚的にわかりやすい表現なので、ぜひ一緒に覚えておこう。 |
【リアルシーン③】ホストファザーのDIYを手伝って

| 【Context:状況】ホストファザーが棚を作っていて、木の板を渡され、どう切るか迷って聞いてみる場面。 |
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あなた Hey, I’ve got the board ready. What’s the best way to cut this? 板、準備できたよ。これって、どう切るのがベストかな? ホスト父 Let’s see… Cut it right here at a 45-degree angle. We need it to fit into the corner. そうだな…この角を45度でカットしてくれる?コーナーにぴったりはまるようにしたいんだ。 あなた Alright, I’ll mark it first and use the saw carefully. 了解、まず印つけてから、慎重に切るね。 |
| 💡 ポイント解説
“I’ll mark it first.” のように、自分がこれからやることを宣言するひと言は、共同作業のときに特に喜ばれる。「ちゃんと考えて動いてるんだな」という印象を与えられるし、何より会話が途切れない。DIYに限らず、料理やアウトドアでも応用できる。 |
【練習問題で使いこなそう】4つのシーン別トレーニング
フレーズは「知っている」だけではダメだ。「口から自然に出る」状態にして、初めて本物になる。 以下の4つのシーンで、空欄を埋めながら声に出して練習してみよう。
| 🍳場面① 料理を一緒にしている時(キッチンで) |
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Hey, I got the vegetables ready. 野菜の準備できたよ。 Nice! ______ ___ ____ ___ __ ___ ____? Like slices or cubes? いいね!これってどう切るのが一番いいかな?スライス?それとも角切り? Hmm…, probably thin slices. It’ll cook faster that way. うーん、たぶん薄切りかな。その方が火が通りやすいし。 Got it. I’ll slice it up then. 了解、スライスするね。 |
| 🍰場面② ケーキを分ける時 |
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Do you want me to cut the cake now? ケーキ切ろうか? Sure. ______ ___ ____ ___ __ ___ ____? Should I do small pieces or big ones? うん。このケーキ、一番いい切り方って何だろう?小さめ?それとも大きめ? Let’s go with small ones. That way everyone can have a piece. 小さめがいいかな。みんなに行き渡るし。 Okay, I’ll make them bite-sized. 了解、一口サイズにするね。 💡 bite-sized: 「一口サイズの」という意味。食べ物の話だけでなく、「bite-sized content(短くわかりやすいコンテンツ)」のようにビジネス場面でも使われる表現だ。 |
| 🔪場面③ キッチン初心者の質問 |
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Ugh, this butternut squash is so tough! うわ、このバターナッツかぼちゃはめちゃくちゃ固い! Yeah, it is. Want some help? うん、そうだね。手伝おうか? Yes please. ______ ___ ____ ___ __ ___ ____? I don’t want to hurt myself. お願い。これってどう切るのが一番いいの?ケガしたくないし… Cut off the ends first, then stand it up and slice it down the middle. It’s safer that way. まず両端を切ってから、立てて縦に切ると安全だよ。 |
| 💡 butternut squash: バターナッツかぼちゃ。アメリカのスーパーでは秋になるとよく見かける野菜。固くて切りにくいことで有名で、「どう切ればいい?」の出番が多い食材の代表格でもある。 |
| 🪚【場面】DIYで木材をカットするシーン |
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Okay, we’ve got the wood and the saw. Ready to build this shelf?よし、木材とノコギリもあるし、この棚を作る準備はできたね。
Yeah! But… ______ ___ ____ ___ __ ___ ____? Should I measure it first or just eyeball it? うん!でもさ、これってどう切るのが一番いい?ちゃんと測るべき?それとも目分量でいいかな? Definitely measure it first. Let’s mark where we need to cut. We don’t want it to be uneven. 絶対に測った方がいいよ。切る場所に印をつけよう。バラバラになったら困るしね。 Good call. I’ll grab the measuring tape. そうだね。メジャー取ってくるよ。 |
| 💡 eyeball it: 「目分量で判断する」という意味のカジュアルな表現。料理でも工作でも使え、ネイティブとの雑談でサラッと使えると一気にこなれた印象になる。
💡 Good call.: 「いい判断だね」「そうしよう」という相槌。”Good idea.” より少しカジュアルで、日常会話でよく登場する。 |
📝 答え合わせ
全問共通の答えはこれだ。
What’s the best way to cut this? 「これの一番いい切り方は何ですか?」
どのシーンでも、このたった一言がぴったりはまる。それがこのフレーズの最大の強みだ。
「言えなかった悔しさ」は、最高の燃料になる

英語学習の話をすると、よく「完璧に話せるようになってから使いたい」という声を聞く。 でも、それは少しもったいない考え方だ、と私は思う。
言えなかった瞬間こそが、英語を本気で覚えるきっかけになる。 あのキッチンでの沈黙がなければ、私は今頃このフレーズを知らなかったかもしれない。
完璧な英語より、「伝わる英語」。 長い文章より、「その場で出てくる一言」。
“What’s the best way to cut this?”
これを口にできた瞬間、ホストファミリーの顔がパッと明るくなった。 「あ、ちゃんとコミュニケーションしようとしてる」と伝わった気がした。
英語は、ツールだ。でも使えた瞬間、それ以上の何かになる。
まとめ
✅“What’s the best way to cut this?” 「これの一番いい切り方は何ですか?」
| 使えるシーン | 一言添えると◎ |
| 料理・キッチンで | “Like slices or cubes?” |
| フルーツを切るとき | “I’ve never cut one before.” |
| ケーキを分けるとき | “Small pieces or big ones?” |
| DIYで木材を切るとき | “Should I measure it first?” |
海外での暮らしや旅先は、思い通りにいかないことの連続だ。 言葉が出てこなくて、もどかしくて、恥ずかしい瞬間も必ずある。
でも、そのひとつひとつが、あなたの英語を本物にしていく。
「言いたかったけど、出てこなかった」を「自然に言えた!」に変える旅は、今日からでも始められる。
今夜、キッチンで包丁を持ったとき、ぜひこのフレーズを声に出してみてほしい。 それだけで、あなたの英語は確実に、一歩前に進んでいる。
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