英語学習者の皆様から、「直訳しただけでは通じないフレーズ」があるということをよく聞きます。弊社、WIZWORDs(ウィズワード)では、「直訳NGフレーズ」なんて呼んでますが…
例えば、この直訳NGフレーズの “at the moment” は、日本語に直訳すると「今のところ」や「現時点で」という意味になります。しかし、このフレーズは、直訳通りに使うことは必ずしも適切ではありません。
I’m not sure what I want to be at the moment.
この文を直訳すると、「今のところ、何になりたいのか分からない。」となります。
しかし、この文は、単に「今のところ」という意味ではなく、 「(将来のことはわからない)」 という意味合いも実は含まれているのです。
このように、”at the moment” には、日本語に直訳しにくいニュアンスが含まれています。
そこで、本記事では “at the moment” に特化して、正しい意味と使い方を解説します。
at the moment 直訳NGフレーズ?
直訳NGフレーズ “at the moment” は、日本語に直訳すると「今のところ」や「現時点で」という意味になりますが、このフレーズは、直訳通りに使うことは必ずしも適切ではないということを前述した通りです。
なので、まずは意味から解説します。
at the moment の意味
“at the moment” は、大きく分けて以下の2つの意味があります。
1つ目の意味は、直訳通りの「今のところ」という意味です。
例えば、
I’m at the moment working on a new project. 今のところ、新しいプロジェクトに取り組んでいます。
2つ目の意味は、1つ目の意味に加えて、「将来のことはわからない」という意味合いが含まれています。
例えば、
I’m not sure what I’m going to do with my life at the moment . (将来のことは)今のところ自分の人生をどうするべきか模索中です。
という意味ですが、という意味も含まれています。
at the moment の使い方
直訳NGフレーズ “at the moment” をいろいろな場面やシチュエーションで使うと、英語力が向上し、コミュ力も強くなる【場面で英語】を使ってマスターしちゃいましょう。
また、今回の【場面で英語】は高頻度フレーズのオンパレードのため、スラッシュリーディングで意味、そのニュアンスや状況などの説明を入れましたので、理解を深めることができます。
ー 【場面で英語】 at the moment ①
at the moment … 「あいにく、今はできない」と伝えたい時 今…をしている → 他のことはできないんだ つまり、「(将来のことは)今のところ」という意味
【Situation】 仕事のメールを書いていると同僚が声をかけてくるシチュ。
【Key Phrase】
I’m just finishing up an email at the moment . 今、メールを送信準備中なんだ。
Can I borrow you for a second?
ちょっといい?
“Can I borrow you for a second?” は、直訳すると「あなたを1秒借りていいですか?」となります。しかし、ネイティブの日常会話では、実際に1秒で終わるかどうかは関係なく、誰かにちょっとした用件で話しかけるときによく使われる表現です。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「ちょっといいですか?」
「ちょっとお話できますか?」
「ちょっと手伝ってもらえますか?」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶとよいでしょう。
例えば、同僚や友人に話かけたい場合は、「ちょっといいですか?」や「ちょっとお話できますか?」が一般的です。目上の人や、初めて会った人に話かける場合は、「ちょっと手伝ってもらえますか?」と、丁寧な表現を使うとよいでしょう。
また、この表現は、相手に自分の時間を割いてもらうことをお願いするときに使うので、感謝の気持ちを忘れずに伝えるようにしましょう。
Hang on. I’m just finishing up an email at the moment.
待って。今、メールを送信準備中なんだ。
“I’m just finishing up an email at the moment.” は、直訳すると「私は今、メールを仕上げているところです。」となります。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「今、メールを書いてるところです。」
「今、メールを送信準備中です。」
「今、メールを終わらせるところです。」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶとよいでしょう。
例えば、同僚や友人に話しかけている場合は、「今、メールを書いてるところです。」が一般的です。目上の人や、初めて会った人に話しかけている場合は、「今、メールを送信準備中です。」と、丁寧な表現を使うとよいでしょう。
また、この表現は、相手に自分の時間を割いてもらうことをお願いするときに使うわけではないので、感謝の気持ちを伝える必要はありません。
具体的な使い方としては、例えば、同僚に「ちょっと、今、メールを送信準備中だから、ちょっと待ってね。」と伝えたいときに使うことができます。
Take your time.
急がなくていいよ。
“Take your time.” は、直訳すると「あなたの時間を取ってください。」となりますが、実際には「ゆっくりしてください。」や「焦らないでください。」という意味で使われます。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「ゆっくりしてください。」
「焦らないでください。」
「急がなくていいです。」
「時間はたっぷりあります。」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶとよいでしょう。
例えば、同僚や友人に何かを頼んでいるときに、「焦らないでください。ゆっくりやってください。」と伝えたい場合は、「ゆっくりしてください。」や「焦らないでください。」が一般的です。目上の人や、初めて会った人に伝えたい場合は、「急がなくていいです。」や「時間はたっぷりあります。」と、丁寧な表現を使うとよいでしょう。
具体的な使い方としては、例えば、同僚に「この資料を読んで、コメントをお願いします。ゆっくりしてください。」と伝えたいときに使うことができます。
また、“Take your time.” は、単に「ゆっくりしてください。」という意味だけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいる場合もあります。
相手がプレッシャーを感じているときに、安心させてあげる
相手に無理をさせないように気遣う
相手に時間をかけて考えてほしい
例えば、同僚がプレゼンテーションの準備に苦労しているように見えたときに、“Take your time.” と言ってあげることで、プレッシャーを和らげて、落ち着いて準備を進めてもらうことができます。
このように、状況や相手によって、さまざまなニュアンスを含めて使うことができる表現です。
What can I do for you?
要件は何?
“What can I do for you?” は、直訳すると「私はあなたのために何ができますか?」となりますが、実際には「何かご用件はありますか?」や「何かお手伝いできることはありますか?」という意味で使われます。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「何かご用件はありますか?」
「何かお手伝いできることはありますか?」
「何かお役に立てることはありますか?」
「何かお手伝いさせていただくことはありますか?」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶと良いでしょう。
例えば、お店や会社で、店員やスタッフがお客さんに声をかけるとき、「何かご用件はありますか?」や「何かお手伝いできることはありますか?」が一般的です。また、同僚や友人に話しかけたいときにも、これらの表現を使うことができます。
具体的な使い方としては、例えば、ホテルのフロントで、宿泊客に「何かご用件はありますか?」と声をかけるときや、同僚に「何かお手伝いできることはありますか?」と声をかけるときなどに使うことができます。
また、”What can I do for you?” は、単に「何かご用件はありますか?」という意味だけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいる場合もあります。
相手に何かをしてあげたい
相手に困っていることはないか気にかけている
相手をサポートしたい
例えば、同僚が何かに困っているように見えたときに、”What can I do for you?” と声をかけることで、困っていることを聞いてあげたり、サポートしてあげたりすることができます。
このように、状況や相手によって、さまざまなニュアンスを含めて使うことができる表現です。
You forgot? In five seconds?
忘れた?5秒の間に?
I guess it wasn’t that important.
それほど重要ではなかったのかもしれない。
“I guess it wasn’t that important.” は、直訳すると「たぶん、それはそれほど重要ではなかった。」となりますが、実際には「それほど重要ではなかったみたい。」や「まあ、それほど重要ではなかったかな。」という意味で使われます。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「それほど重要ではなかったみたい。」
「まあ、それほど重要ではなかったかな。」
「それほど重要ではなかったのかもしれない。」
「それほど重要ではなかったらしい。」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶと良いでしょう。
例えば、何かを期待していたものの、結果的にそれほど重要ではなかったときに、“I guess it wasn’t that important.” と使うことができます。また、何かを心配していたものの、結果的にそれほど重要ではなかったときにも、これらの表現を使うことができます。
具体的な使い方としては、例えば、何か大事な用事があると思っていたのに、結局、それほど大事ではなかったときに、“I guess it wasn’t that important.” と自分に言い聞かせるときや、誰かに重要な用事があるかどうか尋ねたときに、“I guess it wasn’t that important.” と答えるときなどに使うことができます。
また、“I guess it wasn’t that important.” は、単に「それほど重要ではなかった。」という意味だけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいる場合もあります。
自分の期待や心配が杞憂であったことを受け入れる
結果に満足している
結果に納得している
例えば、試験の結果が思わしくなかったものの、後悔はしていないときに、“I guess it wasn’t that important.” と自分に言い聞かせることで、結果を受け入れて、気持ちを切り替えることができます。
このように、状況や相手によって、さまざまなニュアンスを含めて使うことができる表現です。
追加の【場面で英語】
A: Come on and have some cake!
こっちに来て、ケーキ食べようよ!
B: I’m washing the dishes at the moment .
今、皿洗ってるよ(皿洗ってるから無理だよ)
A: Are you doing anything interesting these days?
最近、何か面白いことしてる?
B: I’m studying English at the moment .
最近、英語の勉強してるんだ。
【場面で英語】 at the moment ②
at the moment … 「最近は…」と近況を伝えたい時 今のところ
【Situation】 友人とお気に入りのカフェで話しているシチュ。
【Key Phrase】
I’m reading an amazing book at the moment . 今、素晴らしい本を読んでいます。
“What’s new?” も直訳NGフレーズです。これは、直訳すると「何が新しい?」となりますが、実際には「何か変わったことはありますか?」や「最近、どうですか?」という意味で使われます。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「何か変わったことはありますか?」
「最近、どうですか?」
「何か新しいことはありますか?」
「何か面白いことはありますか?」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶと良いでしょう。
例えば、久しぶりに会った友人や知人に声をかけるとき、「何か変わったことはありますか?」や「最近、どうですか?」と聞くことができます。また、同僚や上司に声をかけるときにも、これらの表現を使うことができます。
具体的な使い方としては、例えば、久しぶりに会った友人に「何か変わったことはありますか?」と声をかけるときや、同僚に「最近、どうですか?」と声をかけるときなどに使うことができます。
また、“What’s new?” は、単に「何か変わったことはありますか?」という意味だけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいる場合もあります。
相手に興味を持っている
相手と話したい
相手と近況を共有したい
例えば、久しぶりに会った友人と話したいときに、“What’s new?” と声をかけることで、会話を切り出すことができます。
このように、状況や相手によって、さまざまなニュアンスを含めて使うことができる表現です。
なお、日本語で「お変わりございませんか?」という表現は、この “What’s new?” に相当する表現としてよく使われます。もちろん、カジュアルですが。
“Not much.” は、直訳すると「それほど多くはない。」となりますが、実際には 「特に何もないです。」/「それほど変わったことはないです。」という意味で使われます。
日本語に訳すと、以下のようになります。
「特に何もないです。」
「それほど変わったことはないです。」
「それほど話題になるようなことはありません。」
「特に変わったことはないです。」
状況や相手によって、適切な表現を選ぶと良いでしょう。
例えば、誰かに「最近、何か変わったことはありますか?」と聞かれて、特に変わったことがなければ、“Not much.” と答えることができます。また、何かについて質問されて、それほど詳しくないときにも、これらの表現を使うことができます。
具体的な使い方としては、例えば、久しぶりに会った友人に「最近、何か変わったことはありますか?」と聞かれて、特に変わったことがなければ、“Not much.” と答えるときや、何かについて質問されて、それほど詳しくないときに、“Not much.” と答えるときなどに使うことができます。
また、“Not much.” は、単に「それほど多くはない。」という意味だけでなく、以下のようなニュアンスを含んでいる場合もあります。
話題を変えたい
会話のテンポを落としたい
相手に気を遣っている
例えば、誰かに「最近、何か面白いことありましたか?」と聞かれて、特に面白いことがなければ、“Not much.” と答えることで、会話を別の話題に切り替えることができます。
このように、状況や相手によって、さまざまなニュアンスを含めて使える表現です。
Oh! I’m reading an amazing book at the moment.
あ!今、素晴らしい本を読んでるんだ。
What’s it about?
それは何についてなの?
It’s about a horrible murder. It’s hilarious!
それは恐ろしい殺人についてなんだ。それはとても面白いよ!
“hilarious” は「とても面白い」という意味です。
Hilarious? Sounds scary.
とても面白い?怖そうだよ。
Yeah, but the detective who solves the murder … is a clown!
ええ、でも殺人を解決する探偵は…ピエロなんだ!
You have such an interesting taste.
あなたは趣味がとても面白いね。
“You have such interesting taste.” は、「あなたは趣味がとても面白いですね。」という意味です。
“taste” は「趣味」という意味です。
この表現は、相手の趣味や好みに対して、興味や関心を持っていることを表すことができます。
具体的には、以下のような意味合いが考えられます。
相手の趣味や好みが、自分とは違うものである。
相手の趣味や好みが、自分にとって新鮮で刺激的である。
相手の趣味や好みが、独特で個性的である。
例えば、以下のような状況で、この表現を使うことができます。
友人が、普段はあまり興味のないジャンルの映画を観ていると、その映画について話を聞いた後に、”You have such interesting taste.” と伝える。
恋人が、自分とは違う国の料理を好んでいると、その料理を一緒に食べながら、”You have such interesting taste.” と伝える。
同僚が、自分とは違う趣味のサークルに参加していると、”You have such interesting taste.” と伝える。
このように、”You have such interesting taste.” は、相手の趣味や好みに対して、好意や賛同の気持ちを表現するときに使える表現です。
追加の【場面で英語】
A: How’s work these days? You seem tired.
最近、仕事はどう?お疲れのようだけど。
B: I’m managing a big project at the moment .
最近は大きなプロジェクトを担当しているの。
A: Can you talk right now?
今、話せる?
B: I’m eating at the moment . I’ll call you later.
今ちょうど食べてるんだ。あとでかけるよ。
at the moment と now が違う理由
Come here now . 今すぐここに来て。 now : immediately 今すぐに
I’m reading the book at the moment . 今(のところ)本を読んでいるんだ。at the moment : currently 今のところ、この瞬間、最近など
at the moment 使い方の注意点
“at the moment” は直訳通りに使うのではなく、日本語に直訳しにくいニュアンスも含めて理解することが重要です。
例えば、
I’m not sure what I’m going to do at the moment .
この文を直訳通りに「今のところ、何をすべきか分からない」と理解してしまうと、相手に誤解を与える可能性があります。正しくは、「(将来のことは)今のところ何をすべきかよく分からないんです。」という意味合いです。
このように、”at the moment” は、日本語に直訳しにくいニュアンスを含んでいるので、注意して使うようにすることが重要です。
まとめ
直訳NGフレーズ “at the moment” は、日本語に直訳すると「今のところ」や「現時点で」という意味になります。しかし、直訳通りに使うことは必ずしも適切ではないということが理解してもらえたと思います。
“at the moment” には、日本語に直訳しにくいニュアンスがあり、その意味は大きく分けて以下の2つです。
そして、”at the moment” を正しく使うためには、このニュアンスも含めて理解することが大切です。
“at the moment” の正しい意味と使い方を理解することで、英語のコミュニケーションをより円滑に行うことができます。