英語力を伸ばすためには一にも二にも語彙力UPが必要不可欠です。
そして、「語彙力をUPしたい!」という願いは、私たち英語学習をする者の共通のものではないでしょうか?
米国系ブラジル人がやっている調査機関、testyourvocab.com によると、英語圏のネイティブ・スピーカー(成人)の語彙数は約20,000から30,000語という調査結果が出ています。もちろん、ネイティブ全てが同じ語彙力ということではなく、業種、学校教育や一般的な興味などによって語彙数は異なってきます。
例えば、経営、営業、マーケティングなどのビジネス分野では約3,500から11,000語の語彙数が使われていると言われおり、工場生産・作業では約3,500から8,000語が使われていると言われています。
つまり、ネイティブ・スピーカーになる必要はありませんが、10,000語くらいの語彙数が英語力アップの分岐点となることは間違いないのです。
今回の記事では、将来仕事で何不自由なく英語を使いこなすことや、ネイティブ・スピーカーの人と自然に会話を行うためには、10,000語くらいの語彙数が今後の英語学習のゴールとすることが理想かもしれません。
英語力UPするためにはどれくらい語彙数が必要?
中学英語の語彙数は約1,600~1,800語、高校英語は約1,800~2,500語といわれ、高校卒業レベルで約4,000~5,000語を習得しなければならないといわれています。
そのため、単純計算ですが、約10,000語の語彙数を習得すれば、仕事で何不自由なく英語を使いこなすことや、ネイティブ・スピーカーの人と自然に会話をしたりすることができます。
10,000語というと、かなり遠い道のりのように感じますが、決して遠い道のりではないのです。
なぜなら、高校卒業しているのであれば約6,800語、すでに勉強しているわけです。
「もう忘れちゃったよ」という人も安心してもう一度英語を勉強してみて下さい。勉強していると、「あ、これ何かやったことあるな」なんてことが必ずあるはずです。それこそ英語の語彙力UPに必要な
です。人間は時間が経つにつれ覚えたことは忘れるように出来ていますが、同時に覚えたことを思い出すこともできるのです。その現象を教育心理学では、
Reminiscence [rèmənísəns] 思い出すこと
として広く使われています。つまり、語彙力UPするためにはただ覚えるのではなく、約10,000語の語彙数を習得するためには、この思い出し学習法を重点に置いた勉強法が有効かつ効果的であることが分かっています。
語彙力UPのためのアクティブ・リコール
語彙力UPのための思い出し学習法は、
と呼ばれ、認知心理学者による研究によると、ただ学習内容を書いたり読んだりして覚えるよりも、Active recall(記憶の中から情報を検索して思い出す行為)をするほうが記憶の定着率が強化されるとのことです。また、驚くべきことに Active recall は記憶の強化だけでなく忘却を遅くすることにも役立つことが証明されています。
アクティブリコール 学習法
1. テキストを一通り読む
まずは一通り読むこと。ここで大切なのは、読みながら一問一答を作っていくこと。手書きが面倒であれば、PCやスマホでメモ帳やWordに打ち込むのも良し。印刷もできて楽々学習できます。
読むテキストの量にもよりますが、一つの項につき、一問一答を作ること。一問一答で足りない場合はさらに作ると効果的。全体を網羅できるように作ることを意識すること。 実は、この段階で問題を作りながら、頭の中で情報を整理しようとしているので、ただ単に読むよりもすでに効果が出ています。 |
2. 確認問題を解く
自分で作った確認問題(一問一答)を解くこと。問題を解くとはいえ、これも手書き解答の必要はなく、スマホに声を吹き込んでみるという方法でやってください。
少し考えて思い出すことができなかったら、すぐにテキストを開いてください。悩んでいる時間がもったいないので。 |
3. テキストを見ながら答え合わせ
一通り解き終えたら、答え合わせをすること。 |
4. 間違えたところを中心にテキストを読む
読み直すこと。一度間違えたところがあれば、きっとその周辺にも穴があるはず。 |
5. 2~4を繰り返す
以上を一つのサイクルとして、繰り返していくこと。以上を一つのサイクルとして、繰り返していくこと。なぜなら、記憶を形成しているシナプス回路を強化・維持するためには、「繰り返し」がベストだからです。
相当量の語彙数を頭に入れることができるはずです。相当量の語彙数を頭に入れることができるはずです。 |
以上が Active recall 学習法です。
英語力UPのためには語彙力UPが必要不可欠ですが、ただただ読み込む学習法ではなく、テキストを一通り読みながら、自分で確認問題を作り、それを解き、答え合わせをすると同時に自分の記憶への定着率を上げる Active recall 学習法は非常に効率的かつ効果的です。
Active recall 学習法 Tips (tips = ヒント)
Active recall 学習法のやり方で特徴的なのは、自分で「問題を作る」という部分です。
複雑な問題を作る必要はありません。市販されている単語帳を使って暗記するのではなく、自分で暗記帳を作るイメージです。いや、自分オリジナルの単語ノート、またはテキストを作るというイメージでも良いかもしれません。
とにかく、一通りテキストやテスト範囲について学習してみて、覚えづらかったところや理解が足りない部分について、自分で問題を作るのです。学習しながら「忘れそうだな」と思った部分についても自分で問題を作りましょう。
問題を作るときに注意すべき点は2つ。
- 覚えづらかった部分は、「覚えやすいように工夫する」
- 理解が足りなかった部分については、「理解して、自分の言葉で説明できるようにする」
覚えづらかったということは、テキスト、または教科書的な説明が自分にとっては覚えづらいということなので、自分にとって覚えやすいカタチに直すと、記憶への定着率が上がります。
そして、理解が足りない部分については、テキスト、または教科書的な説明では理解しづらかったということですから、仮にそれをそのまま覚えていたとしても応用できなくなってしまいます。
なので、覚えやすいように工夫するか、自分の言葉で説明できるようになってから、それをテストする問題を作りましょう。
以上が自分で問題を作るためのTips (ヒント)となります。
ちなみに語彙力UPを目指すためのおススメのテキストは、「英単語の語源図鑑』(清水建二、すずきひろし著、かんき出版)です。
社会人にとって英語力UPは語彙力UP
自分の英語力UPを目指すためには、一にも二にも語彙力UPが必要不可欠です。
しかし、ただ単に英単語のテキストを読んでも、効果は出ません。
社会人の英語力の指標となっているTOEICの点数を上げるためには、語彙力UPが必須なのです。
そこで、学習法として Active recall を紹介してみました。この学習法はあなたの英語力UPを効果的かつ効率的に手助けしてくれるはずです。
この Active recall 学習法では、最初からテキストを何度も読み返したりはしません。まずは、軽く一通りテキストを読みます。次に、自分で問題を作り、いきなり確認のため問題を解きます。もちろん、何も見てはいけません!
当然ですが、最初から良い点数が取れるわけがありません。しかし、このような最初の挫折を味わうことが、実は後の勉強のための刺激となるのです。
実際、英語の語彙力UPの学習で Active recall を実践すると、テキストを読み込む旧来の学習法の半分の時間で、同等の成果を得られた研究結果もあるのだとか。
Active recall 学習法は非常に効率が良い勉強方法なのです。
まとめ
Active recall 学習法で語彙力UP、または英語力UPできることが、本稿でお分かり頂けたのではないでしょうか。
社会人にとってTOEICの得点を上げるためにはやはり語彙力UPの勉強は必要不可欠です。
特にTOEICは、語彙力が点数に直結しやすく、1000語覚えると100点上がるといわれています。
Active recall 学習法で10,000語習得を目指して、TOEIC高得点、仕事で何不自由なく英語を使いこなすこと、そしてネイティブ・スピーカーと自然に会話をしたりするというゴールに向かって、今日から突き進んでみませんか。